商品一覧

太刀[無銘(千手院](第55回重要刀剣)
Tachi: Mumei ( Senjuin ). NBTHK 55th JUYO TOKEN.

無銘(千手院) Mumei ( Senjuin ).

第五十五回重要刀剣 NBTHK 55th JUYO TOKEN.

長さ 85.1 cm 反り 2.9 cm
元幅 3.3 cm 元重 0.7 cm
先幅 2.0 cm 先重 0.5 cm

千手院(せんじゅいん)の太刀は、大和国(現在の奈良県)で平安時代末期から南北朝時代にかけて活躍した、大和五派の中で最も古い歴史を持つ「千手院派」の日本刀です。
東大寺の霊場である若草山麓の千手谷にある子院「千手院」に隷属した僧形の鍛冶(承仕法師)たちが、主として東大寺の僧兵たちのために刀剣を鍛えたのが始まりとされています。

千手院派の太刀には、大和伝の基本となる以下の特徴が顕著に現れています。
• 体配(姿): 鎬(しのぎ)が高く、鎬幅が広いのが特徴です。平安末期から鎌倉初期の「古千手院」と呼ばれる初期の作は、細身で小鋒(こきっさき)、腰元で強く反りつつも先に行くと直刀の名残りを感じさせる、古調で極めて典雅な姿をしています。
• 地鉄(じがね): 板目肌に杢目(もくめ)が交じり、全体的に肌が流れて柾目(まさめ)がかる「流れ肌」がよく現れます。
• 刃文(はもん): 焼き幅が狭く、おとなしい細直刃(ほそすぐは)を基調としながら、ほつれや二重刃、小乱れなどが交じり、細かな地沸(じにえ)がつくのが特色です。
• 銘(めい): 古千手院の時代には「在銘(作者の名前が彫られたもの)」の太刀がほぼ皆無であり、現存するもののほとんどが「無銘」として伝わっています。一部、国宝に指定されている大太刀「銘貞治五年丙午千手院長吉」など、南北朝時代以降になると在銘の作も見られます。

千手院の太刀は、日本刀の源流の一つである「大和伝」の原型を今に伝える極めて貴重な文化財です。名門の家系や寺社で大切に伝承されてきたものが多く、研ぎ減り(何度も研がれて刀身が薄くなること)を経てもなお、平安・鎌倉時代の気品と実用性を兼ね備えた美しい佇まいを見せてくれます。